ブランド
400年続く伝統技術に新風を吹きこむ
平戸松山窯
- 1600年代
- 三川内焼
- 中里月度務
歴史
「三川内焼の祖」から脈々とうけつぐ伝統
三川内焼(みかわちやき)は、1600年代に肥前でつくられ始めた磁器です。
「朝鮮の役」の際に豊臣秀吉が連れ帰った朝鮮陶工が、長崎・佐賀の各地で窯を開いたのが肥前のやきものづくりの始まりといわれています。
陶工のひとり高麗媼(こうらいばば)は、1622年に長崎県三川内で良質の土を発見、長葉山窯を開窯しました。
つくった磁器が高品質であったことから、平戸藩の「御用窯」となり、「平戸焼」とも呼ばれるようになりました。
1804年には藩の奨励により、海外への「輸出」も盛んになります。
とくにコーヒー碗皿は、ヨーロッパの王族や貴族に高評価を得ており、現在も大英博物館に「古平戸」という名称で収蔵されているものがあります。
私たち平戸松山窯は、先祖である高麗媼の技術をうけつぎ、今も伝統を大切に守っています。
さらに、あらたな作品に挑戦することで、未来の三川内焼へとつづくように誠心誠意でとりくんでいます。
特徴
純白の生地にえがく繊細優美な青色の染付
三川内焼の作品はおもに「染付(そめつけ)」で描かれています。
生地の色は透き通るような純白、そこに青一色の極細筆で人間の表情や草木のみずみずしさを表現していきます。
伝統の絵柄は唐子絵・祥瑞(しょんずい)文様・唐草文様などで、とくに唐子絵は三川内焼の代表的な絵柄です。
唐子とは中国風の衣装や頭をしたこどもの絵で、当時は中国大陸から入ってきた品物が上等品であったことから、「高級品」を意味しています。
さらに唐子の人数で用途がきまっており、将軍家や朝廷への献上品「献上唐子」には7人、公家や大名は5人、一般大衆向けには3人が描かれていました。
技術や材料など惜しみなく費やされた献上唐子は、完成度の高いやきものです。
この伝統を守りつつ、現代のニーズに合わせた愛らしい「創作唐子」やあらたな試みにも挑戦しています。
お客様へ
400年続く格調高い白磁器をご家庭で
平戸藩の御用窯として発展し、幕府や朝廷、ヨーロッパ王族に献上された、歴史ある白磁器をぜひみなさまにもお使いいただきたいと思います。
こどもが描かれた唐子絵には子孫繁栄の願いがこめられ、自由に伸びていく唐草文様には、人々の成長や人の縁を大切にするという意味があります。
また、現代風にアレンジしたかわいらしい創作唐子は、日常生活のなかでくつろぎの時間をもたらしてくれることでしょう。
細い筆で繊細に波を描いた青海波(せいがいは)という伝統の吉祥文様は、広い海がもたらす恩恵に思いをはせ、幸せが未来永劫つづくようにと願いをこめています。
最後にご紹介するのは、独特の世界観をかもしだす象の絵柄です。
江戸時代、唐船で日本へはじめてやってきた象は、長崎へと上陸しました。
そういった意味でも象には親近感があるのかもしれません。
象は神聖な動物であり、幸せの象徴ともいわれています。
どれもお祝いの品物に最適です。
受賞歴
2003年 九州・山口陶磁展入賞「流水なぶり鉢」
2013年 経済産業大臣指定 伝統工芸士
2018年 長崎県無形文化財指定「平戸染付技術」