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ブランド
お線香に込められた品格
兵庫県線香協同組合
- 1972年
- 線香
- 谷口太郎
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歴史
日本初の香木が漂着した島
兵庫県線香協同組合は、兵庫県の淡路島にある15社の製造事業者が加盟しています。
瀬戸内海の東部に位置する淡路島は、温暖な気候で農業や水産業が盛んなことで知られていますが、香りの島とも呼ばれ、線香の生産シェアが最も高いことをご存じでしょうか。
日本における香りの歴史は西暦595年に遡ります。
日本最古の書物といわれる『日本書紀』には、「淡路島の海岸に香木が漂着し、島民が竈門にくべたところ、何ともかぐわしい香りが遠くまで漂ったので不思議に思い朝廷に献上した」と記されています。
それから時を経た江戸時代、淡路島の江井浦は廻船問屋が軒を連ねる港町でしたが、冬は西風が強く海が荒れて港が閉ざされる為、船乗りたちは出稼ぎを余儀なくされました。
生活苦にあえぐ島民を救う為に着目したのが線香製造。
海から吹き付ける季節風は、線香の乾燥作業に最適でした。
小間物屋の田中辰蔵は、当時泉州の堺で盛んだった線香づくりの技術を学び、熟練工を島に連れてきて線香の生産を始めました。
以来、冬枯れ対策の家内工業として定着し、今では島民の4分の1以上が線香づくりの何らかの工程に携わっています。
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特徴
香司という香りのマイスター
お香の起源は古代インドで、当初は儀式や医療目的で焚かれていました。
日本には仏教とともに中国から伝わりましたが、香木を削って棒状に練り上げ、乾燥させたものを少しずつ焚くという線香のスタイルは、日本独自の発想によるものです。
仏教における線香の役割は、香りや煙で穢れを祓って心身を清浄にし、仏様やご先祖様と煙を通じて対話、感謝を述べるということです。
家庭に「小さなお寺」である仏壇を置き、毎日手を合わせるという習慣が庶民にも拡がり、線香も大きく発展していきました。
日本神話の国生みの物語で知られる淡路島は、伊弉諾神宮をはじめ、由緒ある古社が数多く現存する神聖な地です。
そのひとつ枯木神社には、日本最初の香木がこの地に漂着したという伝承があり、御神体として祀られています。
そのような淡路島には日本で唯一、「香司(こうし)」という香りのマイスターが15名存在。
代々受け継いできた独自の技術を持ち、切磋琢磨しながら個性的な香りづくりに励んでいます。
淡路島の線香は、白檀やサンダルウッドなどの香料を基調に、柚子や金木犀、コーヒ―などの身近なエッセンスを加えたり、波の華など淡路島の風景をイメージしたりと幅広い香りが生み出されています。
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お客様へ
お線香で安らぎのひとときを
今日、線香は仏事用だけでなく、心や体、空間を整えるフレグランスとしても広く利用されています。
人間の嗅覚はすぐに慣れてしまう性質がある為、3種類程の香りを交互に使うことで脳が刺激され、さまざまな効果が得られるといわれています。
まずはお好きな香りを見つけていただき、体調やシーンに合わせていくつか使い分けていただきたいです。
香司たちは長年培ってきた線香の伝統を受け継ぎながらも常に挑戦を続けており、さりげない日常にアクセントを添える香りを追求しています。
今回、淡路島の線香を海外の方にも知っていただきたいという思いから、試行錯誤し海外向けの商品も開発しています。
それぞれ、欧州でよく使われる人名をつけ、その人物の人生ストーリーを香りにするという新しい世界観を創出しています。
世界中の方たちがこのお線香で心休まるひとときをお過ごしいただければ幸いです。