ブランド
伝統の技術を進化させ、さらに未来へ
印伝の山本
- 1955年
- 甲州印伝
- 山本裕輔
歴史
甲州印伝の伝統を消さないために
創業者の山本金之助は、甲府の上原商店(現:印傳屋上原勇七)で働き、印伝の技術を習得しました。
しかし、第二次世界大戦中におこなわれた鹿革規制や、自らの出兵により、一旦甲州印伝の道から離れます。
戦後、空襲によって焦土と化した甲府に戻った金之助は、印伝で鍛えた技術力を活かして、東京のかばん製作企業の下請けを開始。
1955年に「山本商店」を創業します。
戦争によって消えてしまった甲州印伝の灯をよみがえらせたい。
金之助は下請けを続けながら、印伝の製作を再開します。
1987年、ついに金之助の長男・誠が後を継ぎ、社名を「印傳の山本」と改めます。
念願だった印伝専門の企業として新たなスタートをきったのです。
1996年、誠は甲州印伝の伝統工芸士(総合部門)の認定試験に合格。
日本でただ一人の伝統工芸士になりました。
金之助の技術を受け継ぎながらニーズの拡大と製造直販に励みます。
3代目の裕輔も、父の後を継いで伝統工芸士に。
講演会を実施して甲州印伝を広く知ってもらう活動や、ゲームやアニメとのコラボレーションを通して甲州印伝の魅力を発信しています。
特徴
伝統を受け継ぎ進化させた色鮮やかな印伝
「印傳の山本」の最大の特徴は美しい色。
そのはじまりは金之助が徴兵時代に海外で見た色鮮やかな色彩でした。
戦後、世の中が明るくなってくると甲州印伝の需要も増え、金之助が作る印伝も多様化していきました。
生前「印伝はもっと明るい色で無ければ駄目」と言っていた金之助。
使われる色も増えていき、従来の印伝にない色で染められるようになりました。
3代目の山本裕輔は、昭和初期(1900年代前半)からある紫や、1990年ごろからある水色をはじめ、各色、多彩なグラデーションに挑戦しています。
印伝に使われる色は増え続け、今では30色200パターンの色と柄の組み合わせが可能。
これまでの技術を応用してさまざまな色を展開しています。
古いものにもう一度スポットをあて、新たに見直すことで、新しい発見が生まれます。
私たちはこれからも甲州印伝の伝統を受け継ぎ、未来へと繋げるべく、さらに技術の向上につとめてまいります。
お客様へ
さまざまな価値観に寄り添う印伝を
価値観やニーズが多様化する時代。
私たちは印伝の伝統技術を活かしながら、新たな表現にも取り組んでいます。
甲州印伝の魅力をひとりでも多くの方に知っていただきたい。
その思いから、さまざま商品の開発に励んでまいりました。
そのひとつが「URUSHINASHIKA」です。
山梨県がおこなう特定鳥獣保護管理計画に基づく個体数調整により捕獲されてるニホンカモシカ。
しかしほとんどは有効利用されないまま廃棄されています。
この廃棄されてしまうニホンジカの皮を材料に甲州印伝を作りました。
質の高いニホンジカの皮を、自然環境に配慮した方法で無染色・無漂白に染め上げました。
日本で初めての真っ白な鹿革です。
「URUSHINASHIKA」は、今までの印伝とは一味違う、モダンなデザインが特徴です。
漆でかたどられた艶やかな模様、鹿革の柔らかく滑らかな肌触り。
漆と鹿革が作り出す独特の風合いとともにお楽しみください。
受賞歴
(財)伝統的工芸品産業振興協会主催第31回全国伝統的工芸品コンクール 入選「陽陰の桜」
第33回・34回全国伝統的工芸品コンクールにおいても新作が入選。
2015年「合切袋」が日本が誇るべき優れた地方産品「Wonder500」に選定
2016年「レクサスニュー匠プロジェクト」にて山梨県代表として参加
2017年「平成29年度 全国伝統的工芸品公募展」にて『日本伝統工芸士会会長賞』 受賞
2018年「平成30年度 全国伝統的工芸品公募展」にて『全国中小企業団体中央会会長賞』 受賞
2020年「第19回 関東伝統工芸士会作品コンクール」にて『関東伝統工芸士会長賞』受賞
2020年「第45回 全国伝統的工芸品公募展」にて『若手奨励賞』 受賞
2022年「第20回 関東伝統工芸士会作品コンクール」にて『関東伝統工芸士会長賞』受賞