桐生織とは
桐生織(きりゅうおり)とは、群馬県桐生市で織られている工芸品です。代表的な柄はありませんが、そのぶんさまざまな種類の柄があります。伝統的な柄から現代風のものまでいろんな雰囲気を楽しめます。
桐生で始まった桐生織の歴史はなんと1000年以上。時代の波にもまれながらも、現代まで脈々と技術と文化が受け継がれてきました。今では京都の西陣織と肩を並べ、「西の西陣、東の桐生」ともいわれるほど名の知れた織物です。
桐生織の特徴は、さまざまな技法によって織りなされる模様の多さや糸の光沢です。高級感あふれる着物は、時代が進むにつれ新しい技術も取り入れるようになり、ファッションとしても楽しめる服へと進化しました。
1977年には国が指定する伝統的工芸品にもなり、桐生市や桐生織物協同組合などが中心となって後継者育成や産業の活性化に力をいれています。
桐生織の歴史は1000年以上
昔から織物が盛んな地域だった桐生。 理由としては、桐生が養蚕(ようさん)に適した気候と地形で、生糸(絹)の生産がよくおこなわれていたということが挙げられます。
記録として残っている最古のものは奈良時代です。714年に「黄あしぎぬ」という織物が朝廷に献上されたとの記録が残っています。
江戸時代後期には桐生織が産業として発達。明治時代には機織りにジャカード織機を導入し、現在の織物協同組合の前身・桐生会社や日本織物株式会社が創立するなど、着々と桐生織の工業化が進められていきました。
このように桐生織が世に広まった背景には「白瀧姫(しらたきひめ)伝説」が関わっているともいわれています。
白瀧姫伝説とは、奈良時代に朝廷の官女・白瀧姫が桐生に織物を伝えたとされる伝承です。桐生から宮仕えにやってきた1人の男が白瀧姫に恋をし、身分の違いを乗り越えて2人は結ばれます。もともと織物の知識があった白瀧姫は、男と桐生に下った際に里人に織物を伝えました。
これが桐生の織物の始まりとなり、現在の桐生織に繋がっていったとされています。
1977年には、経済産業大臣が指定する伝統的工芸品に認定。桐生織の技術は高く評価されるようになりました。
1993年には桐生が全国初の「通産省ファッションタウンモデル地域」に指定され、桐生の風土や歴史、文化を活かすまちづくりが始められます。
国や地域をあげて桐生織を盛り上げ、現代でも使いやすい柄や衣服を作っています。
ファッションタウン桐生で進化し続ける桐生織
桐生織の特徴は、7つの技法によって生み出される豊富な種類。これらの技法は代々受け継がれており、製造元ごとに扱う技法が異なります。
その技法は「もじり織(もじりおり)」「お召織(おめしおり)」「緯錦織(よこにしきおり・ぬきにしきおり)」「経錦織(たてにしきおり)」「経絣紋織(たてかすりもんおり)」「浮経織(うきたており)」「風通織(ふうつうおり)」の7つです。
これらの技法ごとに異なる特徴を持っています。たとえば「お召織」は、徳川家斉が好んだことからこの名が付けられました。独特なシボ(しわ模様)やシャリ感が評価されている織り方です。
「もじり織」は目が粗く、通気性の良い織り方です。特に夏の衣類やタオルケットなどに向いています。このようにそれぞれでまったく違う特徴があるため、桐生織はいろんなシーンに合ったものを購入することができます。
桐生織は現代技術も取り入れるという柔軟性も持っています。1886年には織機にジャガードを採用。ジャガードとは、1806年にフランスの発明家が開発した織機です。これまでの織機は2人がかりで糸を上下させなければいけませんでしたが、ジャガードを使えば1人で作業ができるようになりました。
コンピュータでデザインを考えたりなど、伝統を大切にしながら最新の技術も取り入れて作業効率をアップさせています。
桐生織の現代での使われ方とお手入れ方法
昔は着物や帯としての制作がおこなわれていた桐生織。もちろん現代でも着物は作られていますが、より手に取りやすい小物類やスカーフなども人気となっています。
桐生織は全国的にも有名な織物なので、お土産として購入される方も少なくありません。
そんな桐生織のお手入れ方法は素材によって異なります。綿や麻でできているものは自宅で洗濯ができますが、絹織物はなるべく専門の業者やクリーニング店にお任せすることをおすすめします。
絹はとてもデリケートな素材なので、水に触れるだけで品質を損なう場合も。もちろん絹以外の素材でも洗濯機で乱暴に洗ってしまうと縮んだり色落ちしたりすることもあるので注意が必要です。
桐生織の美しさを守るためにも、素材に合ったお手入れをするようにしましょう。
桐生織の見学・体験ができる場所
桐生織物記念館
所在地 | 群馬県桐生市永楽町6-6 |
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電話番号 | 0277-43-7272 |
定休日 | 毎月最終週の土曜日・日曜日 8月13~16日 12月29日~1月3日 |
営業時間 | 10:00〜17:00 |
HP | http://www.kiryuorimono.or.jp/kinenkan/ |
備考 | 1階の販売所にて桐生織の小物類や衣類を販売しています。2階にある展示室では、かつて使われていた桐生織の織り機や資料などの展示もおこなわれています。 |
泉織物有限会社
所在地 | 群馬県桐生市東5丁目5-16 |
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電話番号 | 0277-45-2449 |
定休日 | 土日祝日 |
営業時間 | 9:00~11:00(午前の部) 13:00~17:00(午後の部) |
HP | http://www.izumi-orimono.co.jp/ |
備考 | 【工房見学(要予約)】 製織工場・染色場・手織機など生産現場を見学しながら、桐生織制作のお話を聞くことができます。 |