丸亀うちわとは
丸亀うちわとは香川県丸亀市で作られる伝統工芸品。一本の竹材から作られる丸亀うちわは、職人の技術が光る美しい仕上がりが特徴です。また美しい見た目でありながら、丈夫な作りで壊れにくいという魅力も兼ね備えています。
古くより多くの職人によってうちわ作りが行われていた丸亀市は、現在も日本トップの生産量を誇り、「日本一のうちわどころ」として知られています。
風おこしとしてだけではなく炊事や日除け、装飾品、祭礼など幅広い目的で使用されてきた丸亀うちわは、民衆の生活に深く寄り添い、愛され続けている伝統工芸品です。
恵まれた土地で育まれた丸亀うちわの歴史
丸亀うちわの起源
丸亀うちわの起源は諸説あり、詳しい時期はわかっていません。しかし、熊本の来民(くたみ)うちわが、丸亀地方の僧侶から伝えられたといわれているため、江戸時代初期には確立されていたと考えられています。
1633年には金毘羅参り(こんぴらまいり)の土産物として、金丸印の「渋うちわ(男竹丸柄うちわ)」が考案され、この頃より丸亀はうちわの生産地として知られるようになりました。
その後も丸亀藩が藩士の内職として「女竹丸柄うちわ」の制作を推奨するなどして、うちわ作りは更に発展を見せます。
明治時代に入ると、新たに「男竹平柄うちわ」という大量生産に適した種類が誕生。これを機に丸亀地方では爆発的に生産量が増加し、国内シェアの9割を締めるようになりました。
丸亀うちわを支えた豊かな自然
ここまで丸亀地方でうちわ作りが盛んに行われるようになったのは、この地方の豊かな自然が関係しています。辺りを豊かな山・川・海に囲まれた丸亀地方では、うちわを作るために必要な原材料を全て近隣で揃えることができたのです。
そのため丸亀地方には、うちわ作りを生業とする職人がさまざまな地方から集まるようになりました。
また、広く丸亀うちわが知られるようになると、制作の依頼が全国各地から届くようになりました。そのため丸亀うちわは人々の需要に合わせ、さまざまな形が編みだされました。
職人たちの技術と、人々の生活に密接に結びついた歴史が認められ、1997年には経済産業大臣指定の伝統的工芸品として指定されています。
丸亀うちわの現在
現代においても丸亀市は全国一の生産量を誇るうちわどころとして知られていますが、そのほとんどは工場で作られたプラスチック製の物です。竹を使ったうちわも、安価な中国製の骨組みを使用した物がほとんど。
伝統工芸品として認められる「丸亀うちわ」には、47もの作業工程があり非常に高い技術が求められます。需要や作り手の減少にともない、丸亀うちわの生産率は年々低下している状態です。
そのため香川県では後継者育成事業に力を入れ、技術の継承に努めています。
47の工程から生まれる丸亀うちわの特徴と魅力
丸亀うちわの大きな特徴は、柄の部分から骨組みまで一本の竹で作られている構造です。柄から骨組みまで継ぎ目のない丸亀うちわには、ほかのうちわにはないしなやかさがあります。そのため壊れにくく、やわらかな風が生み出されることが丸亀うちわの魅力といえるでしょう。
丸亀うちわは一本作り上げるまでに47もの工程があります。職人はそれらの工程をほぼ全てひとりで担い、手作業で仕上げていくのです。
日本三大うちわといわれる「房州うちわ」「京うちわ」「丸亀うちわ」の中でも、丸亀うちわの作業工程の多さは突出しています。
また、丸亀うちわは種類の多さでも知られており、職人は制作するうちわの形に合わせて、竹を伐採する段階から選定を始めなければなりません。
原材料から仕上げの作業まで、気の遠くなるような工程を経て完成された丸亀うちわには、職人それぞれの個性と技術、そして手間暇がこめられています。
こうした手作業が丸亀うちわの柔らかさやあたたかみを生み出しているのです。
丸亀うちわの現代の製品とお手入れ方法
古くから需要に合わせて種類を増やしてきた丸亀うちわ。現代においても柔軟な発想のもと、実用的な物から飾っておきたくなるデザインの物まで、さまざまな製品が生みだされています。
具体的には、職人とデザイナーの共同で作られたポップなイラストの丸亀うちわや、香川の伝統的な織物である「保多織」を紙の代わりに使用したうちわなどがあります。
目に新しくオリジナリティ溢れる丸亀うちわはお土産や贈り物にも最適です。
また、丈夫な作りが魅力的な丸亀うちわはお手入れの必要がほとんどありません。もちろん無理な力を入れて扱えば壊れてしまいますが、直射日光の当たる場所や多湿な場所を避けて保管していれば、一本のうちわを長く使い続けることができます。
天然の竹は使い込むうちに、光沢のあるあめ色へ変化し一段と魅力を増していきます。丸亀うちわは使い込めば使い込むほどに、使い手だけの特別なうちわへと進化していくのです。
丸亀うちわの見学・体験ができる場所
うちわの港ミュージアム
所在地 | 香川県丸亀市港町307-15 |
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電話番号 | 0877-24-7055 |
定休日 | 毎週月曜日(祝日の場合は翌日)年末年始(12月29日~1月3日) |
営業時間 | 9:30~17:00(入館は16:30まで) |
HP | https://marugameuchiwa.jp/facility |
備考 | 体験コース800円~受付(9:30~11:30 13:30~15:30)※要予約 |
うちわ工房「竹」
所在地 | 香川県丸亀市一番丁丸亀城内 |
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電話番号 | 0877-25-3882 |
定休日 | 水曜日年末年始(12月27日~31日) |
営業時間 | 10:00~16:00 |
HP | https://marugameuchiwa.jp/facility#take |
備考 | 体験コース1,000円~受付(10:00~14:00)※要予約 |