八女福島仏壇とは
八女福島(やめふくしま)仏壇とは、福岡県で作られている金仏壇です。福岡県にある八女福島市を中心に作られており、金箔や漆塗りを施した格式高い仏壇といわれています。
ちなみに、金仏壇とは浄土真宗を中心に使われている仏壇で、金箔や金粉を使って華やかに仕上げているのが特徴です。外側は漆塗りで黒く仕上げているため、内側の金とのコントラストが非常に美しく、高級感のある雰囲気を味わえます。ほとんどすべての工程が手作業で行われているのも大きな特徴で、現在全国で作られているさまざまな仏壇にもその技術が影響を与えました。仏壇の種類はいろいろありますが、福岡県で作られている仏壇は台輪と呼ばれる部分の形によって大きく3つに分類されています。福島型・八女型・八媛型の3つの格式にはそれぞれ特徴があり、同じ八女福島仏壇でも細かな違いを感じられるでしょう。仏壇文化の始まりともいわれる八女福島仏壇
八女福島仏壇は九州の仏壇文化の始まりである仏壇で、今から200年ほど前の江戸時代中期に、ある職人が見た夢が起源とされています。
当時は指物大工として活躍していた遠渡三作(とおわたりさんさく)が、美しい仏閣の夢を見たのが八女福島仏壇の始まりでした。夢の中の荘厳な雰囲気に感動した彼は、仏閣の美しさに触発されて仏壇を作り始めます。同じ指物大工をしていた仲間を集め、徐々に仏閣作りにのめり込んでいきました。30年ほど経過するとキリシタン禁制が始まったため、より仏教への信仰が高まって仏壇の流通も増加。また、仏壇作りの技術も発達し、分業化されていく中で八女福島仏壇は地場産業として確立します。その後も進化し続け、福岡県内で有数の仏壇へと成長しました。【仏教への信仰心が強い地域で発展】
八女福島仏壇はキリシタン禁制以降、久留米市・都築市・みやま市・八女郡黒木町・広川町・立花町・矢部村・星野村などで発展していきました。それぞれの土地で発展した理由は、仏教への強い信仰心にあると考えられています。
もともと信仰心の強かった地域ではありましたが、キリシタン禁制によって仏教を信仰する人が増加。また、古くから工芸品が多く作られていたために、仏壇作りへの馴染みや浸透が早かったと考えられています。【伝統工芸品登録は1977年】
八女福島仏壇は、1977年3月30日に経済産業省指定の伝統的工芸品に登録されています。伝統工芸品に登録されてから数十年経った今でも、変わらない技術力や技法を使って丁寧に作られています。
八女広島仏壇は独自スタイルを貫く荘厳な仏壇
八女福島仏壇はとにかく華やかで美しく、仏殿楼閣を模した荘厳な雰囲気が特徴です。外側は黒く、内側は金色に仕上げているため高級感があります。仏壇作りは非常に工程が多いですが、八女広島仏壇の場合はそれぞれの工程を専門の職人が担当。複数の工程を上手く分業し、高度な技術力を保っています。
【福島型・八女型・八媛型の3種類がある】
八女広島仏壇は、形の違いなどによって3つの種類に分けられるのも大きな特徴です。福島型は台輪が3つあり、八女型は台輪が1つしかありません。また、八媛型は台輪が2あるため、主に台輪の形や数で見分けられます。
それぞれの型は長い年月が経過しても大事に使えるよう、組み立てや修理が容易にできるように設計されています。ただ見た目を美しく仕上げるだけでなく、メンテナンスや使う人の気持ちまで考えて作られているのも特徴のひとつです。【多くの職人が工程を分業】
彫刻・金具・塗装・蒔絵・組立など、各工程を分業して行っているのも特徴です。彫刻であれば彫刻師、蒔絵であれば蒔絵師など専門の職人がひとつひとつ丁寧に仕上げています。1つの仏壇を作りあげるのに、複数人の職人が力を合わせる様子はまさに伝統工芸品の集大成ともいえるでしょう。
【日本最大級の仏壇としても有名】
八女福島仏壇は1992年に高さ6.5メートル、横幅3.8メートルの日本最大級の仏壇を作っています。重さは約2トンもあり、一般的な家庭用の仏壇とは比べ物にはならないサイズです。この仏壇には1300人もの職人が関わっているとされ、八女福島仏壇の最上品ともいえます。
現代での使われ方とお手入れ方法
八女福島仏壇は現在でも、多くの職人によって手作りされています。仏壇を購入する際は、手入れについても知っておくと安心です。
八女福島仏壇ははめ込み式による総組立の仏壇のため、比較的手入れがしやすいのが特徴。基本の手入れはとても簡単で、全体をキレイな布で乾拭きして全体の汚れを落とします。金箔や漆塗りをしている部分を濡れ拭きしてしまうと、剥がれやキズの原因になるので注意してください。掃除の前に完成形の写真を撮影しておくと、細かな部品をもとに戻すときも安心です。ほかの汚れが激しいときや、壊れてしまったときは専門の職人に修理をお願いするのが確実です。八女福島仏壇を製造・販売する会社の中には、メンテナンスや修理を行っているところもあります。ただし、金仏壇の掃除や修理は高価な場合がほとんどなので、必ず金額をチェックしておきましょう。八女福島仏壇は現在でも昔ながらの手作りの製法を守っているため、部品の交換や修理も可能です。そのため、しっかりとメンテナンスを行えば、いつまでも美しい様を楽しめます。八女福島仏壇の見学・体験ができる場所
八女伝統工芸館
所在地 | 福岡県八女市本町2-123-2 |
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電話番号 | 0943-22-3131 |
定休日 | 月曜日 |
営業時間 | 9:00~17:00(入場は16:30まで) |
HP | https://yamedentoukougeikan.jimdo.com/ |
備考 | 作品の購入や職人の実演コーナー見学 |
緒方佛壇本店
所在地 | 福岡県八女市本町397-3 |
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電話番号 | 0120-133-367 |
定休日 | 水曜日 |
営業時間 | 9:00~19:00 |
HP | https://www.dentou.co.jp/ |
備考 | 見学や購入、体験など |