弓浜絣とは
弓浜絣は鳥取県の弓浜半島にある米子市や境港市で製造されている絣です。弓ヶ浜で作られていることから弓浜絣と名付けられましたが、浜絣と呼ばれることもあります。
絵絣が有名で、倉吉絣と広瀬絣と並んで「山陰の三絵絣」と呼ばれています。
絣は絣糸というあらかじめ染め上げた手つむぎ糸を使って織り上げて作る織物で、藍色の糸で生地の土台を作り、白色の糸で模様を織りこんでいきます。
白色の糸に少し藍色がにじむことで風情を感じられ、長い間地元の人々に親しまれていたのです。
弓浜絣の歴史
弓浜絣は江戸時代中期、1751年頃から生産されています。当時すでに山陰地方は弓浜半島や広瀬絣、倉吉絣などの絣が盛んに作られており、絣の名産地として知られていました。
中でも弓浜絣は農民などの一般市民が普段着として生活に取り入れていたため、親しみやすさがあり重宝されていました。
当時弓浜絣を製作していたのは地元の農家の主婦たちで、本業の木綿織をしながら、弓浜絣の仕事着や晴れ着、生活雑貨などを作っていました。
江戸時代から大正時代の間、弓浜絣は最盛期を迎え、鳥取県は絣織物生産地として知られていたのです。
1975年には伝統工芸品、1978年には県指定無形文化財に指定され、絣を保存するために工房などが各地で作られました。
戦後になると後継者不足によって弓浜絣の存続が危ぶまれていたことや、絣自体の需要も洋服の普及などにより激減し、現在ではわずかな量の絣しか生産されていません。
そんな中、弓浜絣がなくならないように協同組合主体で「弓浜かすり伝承館」で人材育成を行っています。
使うほどに肌に馴染む弓浜絣の特徴
弓浜絣は濃い藍色で白抜きの絵柄が特徴です。絵柄は鼓や扇面、鯉、鶴亀、菊、七宝つなぎなど、日本で縁起が良いとされているものが多いです。
縁起が良いものを織り上げることで、弓浜絣を使う人の幸せを願ったのです。手紡ぎで1つ1つ丁寧に作られている糸を使って作られており、ざっくりとした風合いをしています。
手つむぎ糸は、農家の主婦たちが本職の木綿織のかたわらで作る素材としてぴったりです。
家族のために丁寧に織り上げられた着物は、家族への想いがこもっています。
例えば、娘が結婚するときには嫁ぎ先でしっかり根付いていけるように「いかり」の柄で作り上げ、子どもが生まれるときには、自分の未来へ思いっきり羽ばたいていけるように「鷹」の柄で作り上げていました。
弓浜絣は現代ではより親しみが持てるように着物だけでなく、巾着袋やコースター、手ぬぐいなどの小物も生産しています。
そしてBEAMSで弓浜絣の製品を販売したり、オニツカタイガーで弓浜絣を作ったスニーカーを販売するなど、若者に人気のブランドとコラボするなどして、弓浜絣がいろんな人に使ってもらえるような努力をしています。
弓浜絣の現代での使われ方とお手入れ方法
弓浜絣は古くから地元の農民の普段着として親しまれてきましたが、洋服が主流となった現代では生産が激減しています。
そこで、現代で気軽に使えるように、ブックカバーや手ぬぐい、巾着など小物の製作を始めました。弓浜絣は丈夫な生地で、また使えば使うほどに深みが出てくるため、飽きずに使い続けることができます。
藍色はどんなファッションとも合わせやすくなっており、老若男女問わず使いやすいデザインとなっています。手入れをするときは、少量の中性洗剤をつけて手洗いをします。2~3回は色落ちをすることがあるため、他のものと一緒に洗濯はしないほうがいいでしょう。
手洗い後陰干しで乾かします。
また、漂白剤を使うと、漂白剤の白が残ってしまうため、漂白剤は使わないようにしましょう。
万が一漂白剤をつけてしまったら、すぐに以下のことを行ってください。
①紙やタオル、布などで、表裏両面で漂白剤を吸い取って、漂白剤が広がらないようにします。
②水洗いで漂白剤を洗い流します。
漂白剤をつけたままにすると、弓浜絣の糸が薬品やけしてしまい、傷みやすくなりますので気をつけましょう。
普段は直射日光を避けて、冷暗所など暗いところにしまうようにしましょう。
また、もしカビが生えてしまった場合は、すぐに対処しましょう。黒い生地や藍色であればカビを見つけやすいです。
もしカビが生えたら熱処理をしてカビ菌を殺します。ブラシなどで表面のカビを取り除いても生地の中に菌が残っていると、またカビが生えてくるため、気をつけましょう。
弓浜絣の見学・体験ができる場所
ごとう絣店
所在地 | 鳥取県米子市彦名町4261-1 |
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電話番号 | 0859-21-9063 |
定休日 | 要問い合わせ |
営業時間 | 要問い合わせ |
HP | https://www.pref.tottori.lg.jp/39553.htm |
備考 | 体験可 |
弓浜絣工房B
所在地 | 鳥取県境港市中野町5473 |
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電話番号 | 0859-21-5939 |
定休日 | 要問い合わせ |
営業時間 | 10:00〜17:00 |
HP | https://kouboub.jp/ |
備考 | 見学要予約 |